高齢者の4人に1人は認知症またはその予備軍と言われ、誰でもかかる可能性のある身近な病気です。脳の神経細胞の働きが悪くなった為にいろいろな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態です。一般的には“認知症”と一括りに言っていますが、いくつかの種類があり原因や症状は様々です。


  1. アルツハイマー型認知症
  2. レビー小体型認知症
  3. 脳血管性認知症
  4. 前頭葉・側頭葉型認知症(ピック病)
  5. 若年性認知症(アルツハイマー病、その他)
  6. その他の認知症

認知症の症状

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中核症状 行動・心理症状
  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 計算障害
  • 失認・失行・失語
  • 実行機能障害
  • 思考力低下
徘徊、幻視・幻聴、妄想、夜間せん妄、
睡眠障害(昼夜逆転)、易興奮性、
嗜好の変化、暴言・暴行、抑うつ状態、
焦燥、自発性の低下、多動・多弁、作話、
異食行為、不潔行為、収集癖、人物誤認、
介護への抵抗、性的問題行動

認知症の症状には上の表のような中核症状と行動・心理症状があります。

認知症の物忘れ

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加齢による物忘れ 認知症の物忘れ
  • 体験の一部を忘れる
  • ヒントを与えられると
    思い出せる
  • 時間、場所の見当がつく
  • 日常生活・社会生活に
    支障は無い
  • 物忘れの自覚がある
  • 極めて徐々に進行
  • 体験全体を忘れる、
    新しい出来事を記憶できない
  • ヒントを与えられても
    思い出せない
  • 時間、場所の見当がつかない
  • 日常生活・社会生活に
    支障がある
  • 物忘れの自覚が無い
  • 確実に進行性

加齢による物忘れと混同されることもありますが、「加齢による物忘れ」と「認知症の物忘れ」には明確な違いがあります。

認知症の症状に最初に気づくのは本人です。もの忘れによる失敗や、今まで苦もなくやっていた家事や仕事がうまくいかなくなる等々のことが徐々に多くなり、何となくおかしいと感じ始めます。しかし、本人から進んで受診する方は決して多くはありません。家族や身近な方が変化に気づき受診を勧めることがほとんどです。

家族が最初に気づいた認知症高齢者の日常生活の変化


  1. 同じことを何回も言ったり聞いたりする
  2. 財布を盗まれたと言う
  3. だらしなくなった
  4. いつも降りる駅なのに乗り過ごした
  5. 夜中に急に起き出して騒いだ
  6. 置き忘れやしまい忘れが目立つ
  7. 計算の間違いが多くなった
  8. 物の名前が出てこなくなった
  9. ささいなことで怒りっぽくなった

現在のところ、認知症を完全に治癒させる根治療法は確立されていません。ただし、適切な医療と周囲の関りにより進行を遅らせることはできます。些細なことでも気になることがあったらまずは認知症外来を受診いただくことをお勧めします。